食べても痩せる– Weight Loss Despite Eating –

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食べても食べても痩せる原因は糖尿病かもしれません

「最近、なぜか急に体重が減ってきた」「たくさん食べているのに痩せていく」—もし心当たりがあるなら、それは体の危険なサインかもしれません。特に、糖尿病がかなり進行している場合にこのような症状が現れることがあります。

糖尿病が悪化し、インスリンの働きが著しく不足すると、体は糖分をエネルギー源として効率的に利用できなくなります。これは、膵臓から分泌されるインスリンが減ってしまう場合や、インスリンが体内で十分に機能しない(インスリン抵抗性)場合などに起こります。

糖分が使えない体は、代わりに生命活動に必要なエネルギーを得るために、本来蓄えていた脂肪や筋肉を分解し始めます。このため、急激な体重減少という形で現れるのです。

この状態を放置すると、血糖値はさらに上昇し続けます。長期的に見ると、神経障害、網膜症(失明の危険)、腎症(透析の危険)、そして動脈硬化症(心筋梗塞や脳梗塞の原因)といった深刻な血管合併症が進行します。

また、血糖値が極端に高くなり、脂肪分解が過剰に進むと、糖尿病性ケトアシドーシスという代謝不全の非常に危険な状態に陥り、意識障害や昏睡に至り、生命の危険にさらされる可能性もあります。

このような「食べても食べても痩せる」状態は、糖尿病がかなり進行している緊急性の高いサインであると考えるべきです。ご自身の体からのSOSだと捉え、一刻も早く医療機関を受診していただくことを強くおすすめします。

糖尿病以外に考えられる原因

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)

食欲は十分にあるにもかかわらず体重が減少する場合、甲状腺機能亢進症の可能性があります。甲状腺から過剰に分泌される甲状腺ホルモンは、全身の代謝を異常に高めるため、脂肪や筋肉の分解を促進して体重減少を引き起こします。
特徴的な症状としては、疲れやすさ、発汗の増加、動悸、不眠、イライラ、手の震え、眼球突出(バセドウ病の場合)などがあります。これらの症状が複数見られる場合は、甲状腺の検査が必要です。

悪性腫瘍(がんなど)

がんなどの悪性腫瘍も、体重減少を引き起こす主要な原因の一つです。進行すると食欲不振を伴うことが多いですが、初期の段階では食欲が低下しないまま体重が減ることもあります。
体のどこかに原因不明のしこり、痛み、出血、長引く発熱など、他の気になる症状がないか注意が必要です。早期発見のためには定期的な健康診断やスクリーニングが重要となります。

消化器系の病気

胃炎、胃潰瘍、吸収不良症候群、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎など)など、消化器系の病気によって栄養の吸収が妨げられ、体重減少が起こることがあります。食欲不振、腹痛、下痢、便秘などの症状を伴うことがあります。

その他

精神的なストレスやうつ病、結核などの感染症、薬剤の副作用などが原因となることもあります。

気になる症状があれば放置せず医療機関へ

「食べても食べても痩せる」という症状は、体が発している重要なSOSです。この症状は、糖尿病をはじめとする重篤な病気が隠れている可能性を示唆しており、放置することで取り返しのつかない事態に発展するリスクがあります。

原因が何であれ、早期に医療機関を受診し、正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩となります。ご自身の健康を守るために、決して様子を見ずに、お早めにご相談ください。

当院での糖尿病治療について

当院は、地域のかかりつけ医として、生活習慣病である糖尿病の予防から治療まで、幅広くサポートしています。「初めて糖尿病の可能性を指摘された」患者様から、すでに治療を受けている患者様まで、多くの方にお越しいただいております。

「糖尿病の治療と聞くと、食生活や生活習慣について厳しく指導されたり、不摂生を怒られるだけでは?」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、当院では患者様一人ひとりの生活スタイルや価値観に寄り添い、決して一方的に指導するのではなく、共に考え、理解し、納得して治療に取り組めるようサポートいたします。

糖尿病は、早期から適切な治療を行うことにより、深刻な合併症の発症リスクを抑えることができます。これにより、健康寿命(自立して活動し、健康に過ごせる期間)を延ばすことができます。当院では、最新の知見に基づいた検査と治療はもちろん、看護師や管理栄養士との連携による食事・運動指導、自己血糖測定指導、療養計画書の作成などを通じて、患者様ご自身が病気と向き合い、主体的に健康を管理できるよう、サポートいたします。

「最近痩せてきた…」という症状で不安のある方、健康診断で血糖値を指摘された方、糖尿病について少しでも気になる方は、ぜひ当院へお気軽にご相談ください。

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