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下痢が続く– Persistent Diarrhea –
下痢が続く方へ
お腹の調子が悪く、下痢や便秘がある場合でも、「すぐに重い病気ではないだろう」と考える方が多いのではないでしょうか。「ストレスかな?」「食あたりかな?」「水分を摂りすぎたかな?」などと、ご自身で原因を判断してしまいがちです。
確かに、下痢はストレスや一時的な水分の過剰摂取などによって起こることはよくあります。しかし、消化器系の病気が原因となっている可能性も十分に考えられます。
特に、以下のような症状が続く場合は、早期の受診が必要です。
- 下痢症状が慢性的に続いている場合
- 下痢と便秘が繰り返して現れる場合
- 下痢に血が混じっている場合
また、「慢性的な下痢は体質だから仕方ない」と思い込み、受診が遅れてしまう方もいらっしゃいますが、これも何らかの異常が潜んでいるサインかもしれません。『ただの下痢』と軽視せず、お早めに当院までご相談ください。
下痢が発症する原因について
下痢が発症する原因は多岐にわたります。主な要因としては、以下のものが挙げられます。
- 食べ物や飲み物
食べ過ぎ、飲み過ぎには注意するようにしてください。食べすぎたり飲みすぎたりしていると胃や腸がうまく働かなくなってしまうことがあり、その結果として下痢が発症してしまいます。アルコールの過剰摂取も腹痛の要因となります。
- ウイルスや細菌感染
いわゆる食中毒などが該当します。食べ物や飲み物に紛れたウイルスや細菌が体内に入り込むことで、腹痛や発熱などの他の症状を伴う下痢を引き起こすことがあります。
- お薬
特に抗生物質(抗菌薬)は、病原菌だけでなく、腸内の善玉菌を含む細菌叢(さいきんそう)を破壊してしまうため、腸内環境の乱れから下痢を発症することがあります。
- 消化器の病気
大腸がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)、過敏性腸症候群などが原因となることがあります。過敏性腸症候群は、ストレスや特定の食べ物によって腸が過敏になり、慢性的な下痢(または便秘)を引き起こします。
下痢の症状について
下痢は便中に水分が多く含まれている状態で、便が固形とならない状態のことをいいます。
食べ物は、口から入って消化管を通って最終的に肛門から便として排出されます。この一連の流れの中で腸で水分が吸収されますが、何かしらの原因で腸管で水分の吸収が行えない、または腸の中で水分量が増えてしまうと、便が水っぽくなってしまって下痢となります。
便の色や匂い、排便時の量やトイレに行く回数などは、下痢が発症している原因や症状の程度によっても異なります。下痢が長く慢性的に続いてしまうと電解質の不足、栄養分の不足、脱水症状などの合併症が併発してしまうことがあります。
2~3日間下痢が続いている場合に考えられる病気について
2~3日下痢が続いている場合には、以下のような原因が疑われます。
| 食べ過ぎ・飲み過ぎ・食あたり | 下痢が発症する原因としてもっともよくみられるのが、食べ過ぎ・飲み過ぎです。食あたりによって下痢を引き起こすこともあります。 |
|---|---|
| 感染性胃腸炎 | ウイルス・細菌感染によって胃腸で炎症が生じることで下痢を引き起こすこともあります。 |
| 薬剤 | 内服している医薬品の副作用によって腸で炎症が生じ、下痢を引き起こすこともあります。 |
1か月以上下痢が続く場合に考えられる病気について
1か月以上下痢が続いている場合には、以下のような原因が疑われます。
| 過敏性腸症候群 | 精神的なストレス、自律神経系の乱れが原因となって腸の働きが低下し、下痢や便秘などの便通異常を引き起こすことがあります。 |
|---|---|
| 炎症性腸疾患 潰瘍性大腸炎・クローン病 | 遺伝などの要因で大腸粘膜にびらんや潰瘍が生じてしまうことで、下痢や腹痛などの症状を引き起こすことがあります。 |
| 虚血性腸炎 | 大腸の血流障害が生じることで下痢や腹痛などの症状を引き起こすことがあります。 |
| 大腸がん | 食事習慣の欧米化などの普段の生活習慣も発症に関わっています。大腸がんが進行していくと下痢・便秘、血便などの症状を引き起こすことがあります。 |
| 慢性膵炎など大腸以外の病気 | 慢性膵炎は膵臓で慢性的に炎症が生じている病気です。血糖値を下げるインスリン、脂肪・タンパク質を分解する消化酵素が分泌されなくなることで消化吸収が阻害され、下痢が引き起こされることがあります。 |
下痢が慢性的に続くときの対処法について
下痢が慢性的に生じている際の対処法としては、下痢の種類(急性下痢、または慢性下痢)や発症原因によっても異なります。下痢の症状がひどい場合や下痢症状が続いている期間、熱や吐き気、腹痛、血便などの他の症状も生じている場合は、お早めに当院までご相談ください。
- 急性下痢の場合
下痢の程度が激しい場合は脱水症状を引き起こす場合がありますので、水分補給を意識してください。急性下痢の場合は冷たい飲み物は極力控えるようにしていただき、また、胃腸を休めるためにおかゆや白身魚などの消化の良い食事を心がけてください。
- 慢性下痢の場合
慢性下痢は他の病気が原因となって発症している可能性があります。そのため、必ず医師の診察を受けるようにしてください。牛乳など特定の食品を摂取した際に下痢が発症する場合は、それらの食品は避けるようにしてください。また、慢性下痢の場合は消化が良くて栄養価の高い食材(うどん、卵、鶏のささみ、赤身の牛肉、白身魚など)を選ぶようにしてください。
下痢が長引く際の検査と治療法について
慢性的に続いている下痢症状でお越しいただきましたら、まずは下痢症状の問診を行います。問診では便の状態や排便回数、食生活についてや、下痢以外で治療中の病気がないかなどを確認します。問診の内容によって必要な検査や治療法が異なることがあります。
- 血液検査
脱水や炎症反応の確認をするために血液検査を行います。また場合によって血清アミラーゼや栄養状態などの評価も行います。
- 腹部レントゲン、CT検査
レントゲンを使って、腸管内にガスが溜まっていないかなど確認することがあります。CT検査が必要と判断した際は近隣の医療機関を紹介しています。
- 便検査
感染症が疑われる場合には、便培養検査にて下痢が発症している原因菌の特定をすることがあります。
- 腹部エコー検査
身体の外から超音波を照射し、肝臓、腎臓、膵臓、胆のうなどを臓器を検査します。
- 大腸カメラ検査
慢性的な下痢や、下痢だけではなく出血もみられる場合に大腸カメラ検査を行います。大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病などがの病気が関係していないかを確認します。大腸カメラ検査が必要と判断した際は近隣の医療機関を紹介しています。
慢性下痢の際の日常生活での注意点
- 市販薬の使用
下痢止め薬は下痢を止めてくれる効果がありますが、感染性の下痢の場合はお薬の服用はやめてください。下痢止め薬を使用することで病原菌が体内に留まってしまうため、余計に下痢症状が悪化してしまうことがあります。
ビフィズス菌などのお腹の環境を整えてくれる整腸薬は、腸内のバランスが改善されるため飲んでいただいても構いませんが、慢性的に下痢が続いている場合は必ずクリニックを受診するようにしてください。また、今までに経験したことないような辛い下痢症状、脱水症状や発熱、吐き気、腹痛などの他の症状も併発している場合も必ず受診するようにしてください。- 食事
食物繊維や脂質の少ない食品を柔らかく調理したり、消化の良い食べ物を食べるようにしてください。脂っこい食品や刺激の強い香辛料などの食品は極力避けるようにしてください。
脱水症状を防ぐために水分補給は大切となります。スポーツ飲料などが適していますが、脂肪分を多く含む牛乳の摂取はお控えください。







